　　　　　　『ネオコンの残党との最終戦争』　　　　渡邊惣樹　　　　　　　　　書評　宮崎正弘　　（ビジネス社）

　米国議会に大きな変化がみられるようになった。
特に下院を共和党が制したので、バイデン外交はまもなく頓挫する。
そればかりか息子ハンター・バイデンの数々の犯罪的行為、不当な収入源。バイデン一族が如何に汚職好きな権力亡者であるかも暴かれることになるだろう｡
ルーズベルトをフーバーは狂人と評したところマッカーサーも同意したという逸話がある。
多くの和平交渉の呼びかけに聞く耳を持たず、何が何でも日本を挑発し戦争にひきづり込んだように、
バイデンはロシアを挑発し、プーチンを戦争に引きつり込んだ。
共和党が反対しているのは異常とも言えるウクライナ援助とカネの行方である。
バイデン一族の汚職腐敗はウクライナと中国から、ロビィ活動や顧問料を名目に大金を毟った。
「独立後のウクライナは策謀に満ち腐敗も烈しく経済は低迷した。政治は親ＥＵ派と親ロシア派が対立した」

　2015年12月7日､中国の大手エネルギー産業の「中国華信能源」会長だった葉簡明はハンター・バイデンとワシントンで会った。
「バイデンは 2016年の大統領選挙に出馬せず引退を考えていた。このころは引退後の金のなる木を探していたらしい（中略）。
葉は、ハンターに報酬年間 1,000万ドル、期間は最低 3年という条件を提示し、ジョー・バイデンの政治力（外交への影響力）を確保しようとしていた。
（ハンターの）ラップトップ・コンピューターには、それが紹介料であることを示すメールがあった」
そして葉は 3.16カラットのダイヤモンド（評価額 8万ドル）を贈った。
葉簡明は当時、習近平に近く、習の目玉プロジェクト「一帯一路」の尖兵の役目を果たしていた。
2017年にロシア国営石油大手ロスネフチの株式 14% を購入し、華信能源はロシア政府、英石油大手 BPに次ぐ、ロスネフチの第 3位株主でもあった。
中国最大級の石油企業で『フォーチュン』の「グローバルトップ 500社」ランキングで 222位だった。
葉簡明は「中国のロックフェラー」と呼ばれた。
しかしこの華信能源は退役軍人や香港の元高官を幹部として雇い、
「私たちは民間企業ですが、政府の政策に忠実に従い、国家の戦略的利益に貢献する必要がある」と自ら謳っていた。
2018年2月18日、葉は中国当局により横領で逮捕起訴された。 20年4月に同社は倒産した。

　ハンター・バイデンの恥さらしの証拠は固まり、全容が揃っている。
ところが、これまでは　民主党が徹底して抑え込み、FBIと CIAが協力して無視し、
さらには共和党内に巣くう　「RINO」たちがネオコン一味と共闘したため表沙汰にならなかったのだ。
ネットで、ユーチューブで、ファイスブックで告発すると「不適切」『ヘイト』と言いがかりをつけられ消された
　（日本も同じで、コロナワクチンへの疑問などをのべるとツィッターなどから消される）。
西側に「言論の自由」がなくなった。米民主党とその同調者らが巧妙に真実の言論を封じ込めているからだ。
BLM は寄付が山と集まり「寄付金を流用しておよそ 8億円の豪邸を購入した」。
このスキャンダルはさすがに左翼メディアも伝えた。労働組合と教員組合の利権争いも凄まじいことになっている。
「マルクス主義」の搾取する側は民主党なのだ。
バイデン大統領は弾劾を回避し、批判の嵐をさけるためにロシアゲートだの何だのと次々と事件をでっち上げて
トランプ＝悪印象をメディアの偏向報道を通じて植え付けた。
こうした作為的な嘘が全部ばれた。本書には、その詳細が追跡されている。

バイデン民主党は赤い全体主義政党でしかなく、有権者はもはや飽き飽きしていることは野球場やフットボールのスタジアムで、
「ファック・ジョーバイデン」という罵声、怒号が飛ぶようになっていることからもわかる。
アメリカの左翼メディアがこれらの真実を伝えないため、その複写機でしかない日本のメディアは報じない（その能力がない）。
ところが渡邊氏は全米のメディアのなかから、良心的で真実をつたえるミニ媒体を選び、本当は何が起きているかを活写している。
ロシアの SVRのナリシュキン長官は、秘密裏にトルコへ飛んで、CIAのバーンズ長官と長時間の話し合いを持った。
ナリシュキンは、それが政治レトリックだとしても、バーンズを評価し、「経験豊富で熟練した外交官」と賞賛した。
なぜなら、この時期（22年11月）にアメリカは和平交渉を始める用意があったと考えられる。
またトルコのエルドアン大統領をプーチンは強力な仲介者になりうると期待していた。だから会談場所はトルコのアンカラだった。
未曾有の大地震でエルドアンは仲介の余力を失った。
すると中国がしゃしゃり出てきた。
バイデン政権はしばしゼレンスキー大統領をあやつり、選挙戦略のためにも戦争を長引かせるように思える。
だから日本やサウジにも呼びかけ献金を要請した｡日本は 7,300億円を毟られる。
2月26日にはサウジアラビアのファイサル外相がキエフを訪問し、クレハ外相らと会見、4億ドルの援助を発表した。 3億ドルは石油のプレゼント。
1億ドルは人道援助の由だ。
かくして米国政治で『ネオコン残党』の生命は残り 2年だと予測する。

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