　　　日本政府は中国にご奉仕～「温暖化問題」に対する日中の動き　　　　武田邦彦　　　　2022/12/14

1970年頃の石油ショック以来、いわゆる「環境問題」というのは全部、インチキだった。
それは当時と現在の環境を比較してみれば、現在は過去に問題にした環境問題が皆無であることからもわかる。
すでに過去のものだからウソもイツワリも露呈しているからだ。　
まず「石油が無くなる」というのは、国際石油資本が原油を値上げするために打った国際的な芝居だったが、日本のメディアはそれを知っていてウソを報道した。
ダイオキシン、環境ホルモン、農薬の複合汚染なども作られた毒物で、すでにほぼ無毒であることが知られている。
さらに、森林破壊、砂漠化、海洋汚染、プラスチック汚染も利権が産んだ環境破壊か、あるいは犯罪性のものであった。
そして今、「温暖化」と「ＳＤＧｓ」の嵐が吹きまくっている。
この二つも笑止千万のものだが、日本社会にはそれなりの嵐が吹きまくっていることは確かで、少し前に日本企業を慌てさせた「ISO9000」「ISO14000」の騒ぎを思い出す。
常にアングロサクソンやノルマン、ゲルマンがとんでもない仕組みやルール作り出し、日本人はただ「ヒツジ」のようにぞろぞろとついて行っている。

　温暖化については、ほとんど「喜劇」と言っても良い状況を呈している。
その一つが、「温暖化の被害を一番受けると予想される中国が、世界のトップを切って温暖化ガスを出していて、
世界で温暖化の恩恵を一番受けると予想される日本が、世界のトップを切って温暖化ガスの削減に取り組んでいる」というアホ状態である。
温暖化とは空気中の温暖化ガスが増え、その結果、気温が上昇することを言う。
北半球では夏場に気温が高くなること、緯度が高い方が気温が上がらないこと、そして海洋性気候より大陸性気候の方が影響が大きいという特徴がある。

　中国と日本を比較してみよう。
　〇　日本：島国、温帯から亜寒帯、世界の 3% を排出
　● 　中国：大陸、亜熱帯から亜寒帯、世界の 30% を排出
中国は言うまでもなく大陸国で、しかも国の西側の陸地である。
かなりの大陸でも西側が海ならある程度の海風が吹いてくるが、中国では南方にインド洋からの風がインドを経て吹いてくるぐらいで、
到底、海洋の恩恵を受けることはできない。
中国の北部の気候はかなり寒いが南部は亜熱帯である。地球が温暖化したら、中国の南部は人が住めないぐらいになるだろう。
まして日本に影響があるぐらいの温暖化が、中国南部を廃墟にさせる。
それでも、中国は温暖化ガスを出し続け、かつて日本より排出量が少なかったのに、今や世界のトップで世界全体の 30%を出している。
中国の指導者は頭がおかしくなったのだろうか？
いくら経済成長が大切と言っても、本当に何千年も住んできた中国の人が、温暖化で住めなくなるようなことになっても経済成長が大切だと思っているはずはない。
とすると、中国の首脳部は、「温暖化にはならない」か「温暖化しても大したことは無い」と思っているに相違ない。

国連総会で温暖化が緊急の課題であり、経済的な犠牲を払ってでも国際社会は一致協力して温暖化防止にあたるべきだと演説した少女が、
名もない少女なのに国連総会で演説できたのは中国の資金だという情報も流れている。
つまり、中国は表面上は温暖化防止に力を入れているような態度を取っている。
国際政治ではこのぐらい矛盾していることを解釈できないとダメだが、日本の国民のような素直で真面目なことが実行されることは無いので、
　１）　国際的には温暖化を阻止しなければならないという立場を取る
　２）　同時に温暖化ガスをドンドン出し続ける
　３）　気候変動は大陸気候に厳しいことは十分に知っている
　４）　気候変動が厳しくなり中国人が被害を受けるようになると、政府が転覆する可能性があることも考慮されている
と考えるべきだろう。そのうえで中国の政策の真意を考えてみたい。

世界全体の気温の変化を長期的に見ると、現在は１７世紀ごろの小氷河期からの回復期にあり、気温は徐々に高くなっている。
つまり、現在の温暖化をこれまでの長い地球の歴史から見れば、「太陽活動の低下によって生じた小氷河期からの回復期の温暖化であり、
世界の平均気温が紀元 1000年頃の温暖期に達するのには 250年ほどかかる」というのが冷静な科学的見方である。
中国はこの冷静な見方に従っているように見える。
このところの政治を見ると、中国政府は中国人のためになる政治を、日本政府は中国人のためになる政治を選択しているように見えるからである。

そうなると、中国の戦略は、
　１）　表面上は地球温暖化を阻止するジェスチャーを取る
　２）　実際には経済発展を最重要とする
　３）　世界が温暖化阻止の活動で経済発展が停滞するので、中国の覇権が一層強くなる
　４）　時間の余裕は 250年あるから大丈夫だということであろう。

　日本の指導層の方が反日的だ。

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