「NHK」 が政府を制す    武田邦彦     2021/10/20

  日本国民を支配するのは汚い意志を持つテレビ社会
NHKは 1970年の 「石油が無くなる」 から現代の 「記録的異常気象」 まで 50年間、誤報に誤報を重ねて視聴率の維持を図ってきた。
社員の平均年収が1600万円ともいわれ、厚い厚生制度を持っている人たちはすでに国民から大きく離れ、
金持ちが自分たちの利権を守るという集団になっている。 それは事実なのである。

新型コロナの報道は 2019年12月から始まり、最初は中国、それから ダイヤモンドプリンセス号、そして イラン、イタリアと続いた。
単なるタチの悪いカゼであっても、世界中を探し回り、流行しているところの重症患者だけを報道すると、普通の生活をしている人にとってはかなり衝撃である。
今や、われわれ日本人は 「目で見た事実」 「耳で聞いたこと」 で自分の頭の認識を決めているわけではない。
毎日、テレビをつけ、少し前までは朝から晩までテレビはつけっぱなしになっていて、朝はニュース、昼はワイドショーなどをぼんやりと見ていた。
かつて 「外を見る」 「噂を聞く」ということで社会に起こっていることを知ったのだが、それに比べるとテレビはとても良いもののように思っていた。

でも、それは 「テレビは意思を持たない」 という前提があった。
ところが、テレビは意思を持っているし、その意思は 「素直」 とか 「誠実」ではなく、「邪悪」 「お金儲け」 などを基礎にしていた。
著者は 30年来、地上波テレビに出ているので、そこで行われていることをよく知っている。 それは二つの原則でできている。

 1) 視聴率を上げるものはウソでもよい (「石油は30年で枯渇する」 とか 「新型コロナはインフルエンザより危険なカゼだ」 など)
 2) 「良い子」 に見えることはウソでもよい (ニュースステーションのダイオキシン報道や有名人の不倫報道など)

今から 20年ほど前には、「これを食べれば健康だ」 「悪玉コレステロールを減らすには」といった健康の話題が多く放送された。
ある時には有名なテレビのキャスターが 「こんにゃくは健康に良い」と放送したら、放送直後からスーパーのこんにゃくがすっかりなくなったということも報道された。
この頃から日本社会は 政府でも 国民でもなく テレビが支配する ようになった。
つまり実質 「国民主権」 から 「テレビ主権」 に変わったのだ。

  金儲けのために国民の恐怖心を利用する「邪悪な者たち」
実際、今度のコロナ事件では、テレビ報道ですっかり国民が怯えたので、政策を決めることができなかった。
実際に、毎年のインフルエンザの中等から重症の患者数 1000万人に対して、新型コロナの感染総数は 1年で約 100万人。
比較にならないほど少ない疾病なのに 「テレビで怯えている国民がいるので、政策の幅は極端に狭い。 マスクをつけるかどうかも国会で決められない」
という状態になった。

総選挙でも、コロナについては 「感染防止に努力する」としか言えない。
単なる事実なのだが、「インフルエンザの 10分の 1以下だから、普通のカゼとして対応したい」 などと言えば、票が減ることは間違いないと言われている。
つまり、日本人はコロナウィルスに怯えているのではなく、NHK に怯えているのである。

それに、「悪い人たち」 というのは常にいるものだ。
日本社会全体がコロナに怯えていると見るや、それであくどく儲けようとする。
その一つが 「医療崩壊」 である。
「病床が不足している」 と言って、コロナ患者を運ぶ救急車は最初は 「運ばない」 と言い、途中で運ぶことはしたが、病院が受け入れを嫌がり、
最大で 10時間も待たされるという例もあった。
著者の知人の中国人は日本ではこのようなことは無いと思って日本に住んでいるのにと言った。
そのうち、インフルエンザ等より厳しい病気に適応される II 類感染症に指定されながら、病院で治療も受けられず、「自宅療養」 ということで放置され、
100人程度の人が死んだ。

かくいう著者もコロナに感染したが、症状がひどくなく発熱もなかったので病院で診てもらうこともできなかった。
倦怠感が強く、食事の味もなくなったので、辛いし、もしコロナなら迷惑をかけるからと思っても、発熱がないので、病院も保健所も相手にしてくれない。
自分で治ったなと思ってから知り合いの病院を頼りに行ってみると、
抗体がしっかりできていてその他の所見から半月ほど前にコロナに感染していたことが明らかになった。 何という医療体制だろう。
その中で 政府のコロナ対策の 委員長の立場にあった厚労省の医系技官のトップが、
自分が理事長をしている病院群で 40% もコロナ患者の受け入れが可能なベッドを空けていて、200億円程度の不当な利益を得ていたと報道された。

テレビは 「医療崩壊」 と報道していたが、取材する記者はいないのだろうか?
NHKは受信料を何に使っているのか?
自宅待機で死亡した人はどう思うだろうか??

いずれにしても私たち日本国民はテレビ報道で正しい判断力を失い、民主主義の根源を失った状態にある。

   
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