| 日本の保守論壇への苦言 伊藤寛 （ワシントン在住国際政治・外交アナリスト） 2018/12/30 チャンネル桜 水島総氏との対談 「自壊するアメリカ帝国 日本よ、独立せよ 」 伊藤寛 「自主防衛を急げ！」 日下公人 vs 伊藤寛 アメリカ政治の現状 共和党と民主党はお互いに聞く耳を持たない、相手側の言い分に耳を傾ける、理解しようとする気が全くない。 客観的な真実や共有できる価値基準がないと言い出した。 相手の言う事実に対して自分は別な事実がある。 言葉の意味さえ異なる。 建設的な議論が成り立たない時代になってきた。 価値判断が共有できないのであれば、自己利益を最大化するしかないと考える － 利己的な行動が正当化されてしまっている。 アイデンティティーが共有できない人とは会話自体が成立しない 「恐ろしい時代」 に入ってしまっている。 人々は何が失われてしまったかに気が付かない、文化的に貧しい時代になってしまった。 マイク・モレル氏の説く 四つのシナリオ （オバマ政権時、CIA長官代行 ー ヒラリーが大統領になっていたら、国務長官になっていたと言われている） １．戦争のシナリオ ： 中国の戦術核がグアムや沖縄を消滅させるという、予測のできないリスクと高すぎるコストが考えられる。 ２．封じ込め ： 2010年中国の貿易量が世界一になっている。 アメリカの取引相手より中国の取引相手が上回っていることは、中国を封じ込めると中国との貿易が無くなって困る国の方が多くなる。 2018年中国の経済規模がアメリカのそれを 20 ~ 25% 上回った。 現状、金融面でも通商面でも中国と取引して利益を得ている国の方が多い事態では、中国を封じ込めるのは無理だ。 ３．アメリカが世界の No.2 のスーパーパワーに成り下がる ： 現状、中国の経済成長率は 5 ~ 6% 、アメリカのそれは 1.2 ~ 1.5% （現状は大幅減税と政府の支出を増やして 3% になっているだけ） 2030年になると中国の実質経済規模はアメリカの2倍になる。 軍事予算もアメリカの2倍にできる。 結果はアメリカは世界の No.2 のスーパーパワーに成り下がることになる。 アメリカとしては許容できない選択肢であろう。 ４．取引のオプション (Let's make a deal.) 今から5年後、10年後、15年後か分からないが、米中の首脳が世界の仕切りを二国で取り決めなければならない局面が出て来る。 仮に、アメリカが欧州か中東で大規模の戦争に巻き込まれたら、米中は世界を二分して夫々に任せる地域の話合いをすることになるだろう。 中国は当然、東シナ海と南シナ海は中国の支配圏と主張し、アメリカに出ていけとなる。 マイク・モレルはこの第 ４シナリオの実現性が一番高いだろうと予測する。 （伊藤も賛同せざるを得ない） そうなったら、日本がアメリカから買わされているミサイル防衛システム、イージス艦、F35 などは、アメリカが中国と取引したら、 全てアメリカはそれらを機能できなくする。 そうなると日本はアメリカと中国が何を決めても泣寝入りするしかなくなる。 日本政府は完全に無力化する。 日本の保守論壇への苦言 日本の保守系の雑誌は毎月、中国、韓国、北朝鮮、サヨクの悪口しか書いていない。 中国などの悪い面を取り上げてケナして喜んでいる。 これは日本の保守論壇の貧困だと私は考えている。 ワシントンから日本に来ると、中国なんて大したことはないと嘲ったり、欠点を指摘したりしているが、20年前も同じことを言っていた。 20年前は実質的にも日本の方が経済力も大きかった。 今では、名目経済力は中国の三分の一、実質経済は恐らく四分の一になっている。 そういう意味では、日本の保守論壇人は生産的ではないし、これ等の国の悪口を言いつのることは、あまりに視野が狭すぎる。 もう一つは日本の実質の防衛予算は 0.9% でしかない。 これを自民党も増やそうとしない。 アメリカの対日政策の基本 日本に自主防衛能力を持たせない アメリカの 国務省 も CIA も日本の防衛予選はこの程度でいい、（トランプだけがもっと増やせと言っているが） アメリカの外交政策エスタブリッシュメントは、これ以上日本に軍事力を持ってもらわなくていいと考えている。 理由は、アメリカの対日政策というのは、73年間一貫して日本人には自主防衛能力を持たせない ＝ 軍事的、外交的に植民地にしておくことだ。 2006年に北朝鮮が核実験をしても、北朝鮮が核を持って日本、アメリカをターゲットにした核を持っても、日本人だけには決して持たせない。 これがアメリカの外交政策を取り仕切るエスタブリッシュメントの基本政策である。 そういう現状でも日本の保守論壇人は中国人、朝鮮人への悪口を言うことに熱中して、自分たちの自主防衛議論を全くしない。 自分たちの自主防衛はトランプの悪口を言いながらも、今後10年、15年、アメリカに頼れると思っている。 僕はこういう保守の在り方というか姿勢、態度は、”あなた達 何を言っているの、日本が二度と独立できない立場に置かれているのに、 奴隷的にアメリカに依存している事実を考えないで、中国人や朝鮮人の悪口を言う時はやけに威勢がいい” 本音で問いますが、”あなた達は卑怯じゃないですか？ 悪口を言うことで満足して、独立をしようとしない、それは 植民地根性 ではないですか？ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「 自壊するアメリカ帝国 日本よ、独立せよ 」 伊藤寛 文春新書 2012年3月初刊 冷戦後、米国がとった 「一極覇権戦略」 は歴史上、異例のものだった。 だが戦略は破綻した。 今やアメリカ帝国は巨額の財政赤字に苦しみ、核は世界中にばらまかれ、中国の軍拡は止められない。 米国に依存してきた日本の進むべき道は？ 目次 一章 自国は神格化、敵国は悪魔化 人類史上異例の事態 アメリカ外交が特異な五つの理由 「アメリカは例外的に優れている」 イデオロギー国家 キッシンジャーの批判 神話創りの”才能” 世界132ヵ国に700以上の軍事基地 無知で単純な外交 プロパガンダとディモナイゼーション ヒロシマ・ナガサキの正当化 二章 驕れる一極覇権戦略 東西二極構造は本望ではなかった 1990年「日本封じ込め」 リークされた一極化戦略 ショセフ・ナイ「ソフト・パワー」の真実 同盟国は「家来と属国」 クリントンもブッシュも同じ 民主党はハト派ではない 本音は常に隠される 三章 米国の「新外交理論」を論破する 皮相な新理論 イラク侵攻は 「ピース」 なのか 理想主義の裏に ハンティントンが抱いた疑問 やっぱり歴史は終わらない 360年の常識を覆す 大量虐殺を無視するのは何故か 「産経」と「朝日」双方が信奉する アメリカがもたらした七つの厄災 四章 非正規的戦争に直面する帝国 時代遅れの振舞い ブッシュ演説、三つの問題 「チェンジ」 しない一極覇権主義 非正規的戦争という落とし穴 ほくそ笑む 「中 朝 露」 五章 アメリカ人の ”ミリテク・ フェチ” 現象 タカ派もリベラル派も共鳴する 「核フェチ」 の誕生 軍事革命は三度起こった 肥大するハイテク戦争 クラウゼヴィッツはこう語った 六章 世界は多極化する － 中・イン・露の台頭 国家のサバイバル戦略とは？ 多極化不可避、九つの要因 中国の経済力が世界一になるとき 日本の「価値観外交」の愚かさ 帝国はなぜ衰退するのか キッシンジャーの 「悲観的外交論」 「日本核武装」の予告 「グローバル・トレンド・2025年」 報告書 ナショナリズムの悪夢 七章 パックス・アメリカーナは終わった 「世界無比の軍事力」は本当か 核保有のジレンマ オバマ 「核廃絶」 の正体 テレビの登場が変えた戦争 現代の戦争の勝利とは？ イラク戦費は三兆ドル GDRの歴史的「告白」 アメリカは日本を助けられない 避けられない財政悪化 終章 依存主義から脱却せよ 主要戦略家 Who's Who ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「 自主防衛を急げ ！ 」 日下公人 伊藤寛 李白社 2011/4/23 初刊 一章 内と外から「日本」を読み解く 日下 日本には自主的な核抑止力が必要だ 伊藤 日本は 「リアリスト・パラダイム」 に立脚せよ 日下 日本の学者は 「リアリスト」 ではない 伊藤 日本外交の根幹がグラついている理由 日下 あまりにお人好しな日本の外交 伊藤 キャリア官僚は ”試験優等生” 日下 日本の外交は 「庶民の知恵」 に学ぶべし 伊藤 渡米して気づいた日本の学者たちのおかしな議論 日下 昭和天皇の苦衷を忘れてはならない 伊藤 ワシントンに移って大発奮 日下 日本は百年先を行く 「超先進国」 である 伊藤 「国家の三本柱」 の二本をないがしろにしたツケ 日下 それでもかっては 「国家意識」 があった 伊藤 所得倍増のプランナーは下村治？ 日下 私が出会った ”虚像の人” 伊藤 「町人国家論」 を撤回した天谷氏を尊敬 日下 「ノーブレス・ オブリージュ」 の秘密 伊藤 エリートの七、八割が戦死したイギリス 日下 ”虚像の人” の仮面を剥ぐ 伊藤 日本の左翼と親米保守はコラボレーショニスト 伊藤 最初から無効な憲法を 「改正」 するのは無理 日下 カモにされる日本 二章 日本はこの国際環境を生き残れるか 伊藤 21世紀もバランス・ オブ・ パワーの時代 日下 アメリカは中世の叡智をご破算にしてしまった 伊藤 戦争に 「正義」 や 「道徳」 を持ち込まない 日下 ウェストファリア条約の意義 伊藤 アメリカは 「文明化された戦争」 を破壊した 日下 「攻勢終末点」 を突破したアメリカ 伊藤 バフェットの予言 「やがて米国で動乱が起こる」 日下 大富豪の慈善事業が ”ガス抜き” になるか 伊藤 米国は国防費を削減せざるるを得なくなる 日下 「自由と繁栄の弧」 のような構想を示せ 伊藤 アングロサクソンといっても英米は同質ではない 日下 かくも異なる英米の 「法」 伊藤 クリントンはマフィアの弁護士をぶつけてきた 日下 日本のドアは押しても開かない 伊藤 「日米同盟」 は真の同盟関係ではない 日下 中国の驚異的な軍拡が意味するもの 伊藤 2020年ごろ 「米中逆転」 が起こる 日下 一日も早く 「核」 の議論を 伊藤 「覇権」 に向かってひた走る中国の脅威 日下 中国人の本質は 「文」 （外見の粉飾） である 伊藤 中国は 「異質な国」 である 日下 中国はいまだに 「古代国家」 のままである 伊藤 北朝鮮は日本直撃ミサイルを三百基所有 日下 アメリカの ”裏切り” を指弾しない日本政府の愚 伊藤 MDミサイルでは核攻撃を防げない 日下 北の核など日本の 「死活問題」 ではない 伊藤 工作員を送っていれば北方四島は返ってきた 日下 「ロシア科学アカデミー」 顧問になった話 伊藤 二、三十年したらロシアはまた混乱する 日下 孤立しても 「核」 を選んだインドに学べ 伊藤 このままでは 「大国」 の座を滑り落ちる 日下 庶民の暗黙知とは？ 三章 日米関係の 「知られざる深層」 伊藤 ”核の傘” は壮大なフィクションである 日下 防衛問題は ”戦場の常識” から考えよ 伊藤 米国の対日敵視は 「オレンジ計画」 が契機ではない 日下 戦前の米国の空気は 「排日」 に傾斜していた 伊藤 日本に好意的だったのはフーヴァー大統領 日下 日本兵の規律正しさが 「日英同盟」 の原動力だった 伊藤 人種差別主義者 F. ルーズベルトの正体 日下 あまりにもお粗末な F. ルーズベルトの歴史観 伊藤 「属国日本」 という米国の意思は現在も生きている 日下 「日本は再軍備すべきだ！」 とニクソンは書いた 伊藤 「日本封じ込め」 から 「日本 ＝ 仮想敵」 へ 日下 アメリカは日本の 「潜在能力」 を怖れている 伊藤 クリントン政権は日本を蚊帳の外に置いた 日下 北朝鮮の恫喝に屈したクリントン政権 伊藤 日本を完全に裏切ったブッシュ（息子） 政権 日下 聖徳太子の故知に学ぶ時期がきた 伊藤 大きな曲がり角に立つ日米関係 日下 重篤な 「America is the gratest 病」 伊藤 賢人たちが懸念する 「米国の対中敗戦」 日下 アメリカにほ 「三つの米国」 がある 四章 われらの 「核抑止力」 構想 伊藤 自主防衛しない国に正統性はない 日下 「保護なきところに忠誠なし」 伊藤 日本の核保有を提言するリアリスト学者たち 日下 アメリカ人の罪責感と恐怖心 伊藤 裏で日本を脅すアメリカの ”知日派” たち 日下 米国の利益を代弁する ”サロゲート” たち 伊藤 「外交音痴の日本に核を持たせて大丈夫？」 の疑問 日下 「核武装へ」 十五のステップ 伊藤 機能していない NPT に縛られている日本 日下 「核武装へ」 十五のステップ （続） 伊藤 アメリカの脅しやハッタリに屈服するな 日下 自立せよ、日本！ 伊藤 核は 「同盟」 を必要としない究極の武器である 日下 米国は日本の 「同盟離脱」 を怖れている 伊藤 ”同盟国” が ”独立国” になるのを嫌う米国 日下 「最強の武器をもって事に当たれ」 伊藤 潜水艦に二百基の巡航核ミサイルを搭載 日下 核武装は経済安保にも直結する 伊藤 巡航核ミサイルで核武装した後の国家戦略 日下 役人にはストーリーをつくる能力がない 伊藤 政治家と言論人は、中川昭一の覚悟を見倣え 日下 出よ！ 気概のある日本人 伊藤 毛＆周も、不退転の勇気を持っていた 日下 ブラフに屈してはならない 伊藤 村田元外務次官の 「遺言」 に学べ 日下 三百万犠牲者の名を騙った 「村山談話」 伊藤 米国依存主義の賞味期限は切れている！ 日下 最後に、これだけはつけ加えたい 「評論集」 へ戻る |