　　　　ウクライナの消滅　最前線の裏にある人口動態のドラマ　　　　（読者の声 PB生、千葉）　　　　2023/7/11

ポーランド語の政治系記事でウクライナの人口動態を考察していた。結論は恐るべきものである。
　https://dziennik-polityczny.com/2023/06/26/wymieranie-ukrainy-demograficzny-dramat-za-linia-frontu/

人口学者アリエル・ドラビンスキーが、ロシアと戦う兵士たちの背後で起きているドラマについて語る。
ウクライナ人が大量に流出することは、ロシアにとっても賭けである。
戦争を長引かせ、ウクライナをできるだけ過疎化させることがクレムリンの利益なのだ。
　1990年、ウクライナの人口は 5,500万人だった。
ロシアの侵略後、最悪の場合、この数字は 2,500万人まで減少する可能性がある。
大多数のウクライナ人は移民から戻ることはないだろうし、戻ってもまた去っていくかもしれない。
ウクライナ人の移住は、ポーランドの労働市場にとってチャンスである。
もし我々がウクライナ人を引き取らなければ、例えばドイツ人が引き取るだろう。

　ウクライナで人口学を扱う最も重要な機関である人口社会研究所は、現在ウクライナには 2,500万人から 3,200万人が住んでいると主張している。
私は、ウクライナには実質的に 3,000万人以上は残っていないと考えている。
国勢調査によれば、2倍小さいポーランドに 3,800万人が住んでいることを思い起こせば、これらの数字はいずれも劇的に低い。
昨年2月のロシア侵攻後、いったい何人のウクライナ人が国から姿を消したのだろうか？
侵攻前の携帯電話会社による同様の調査では、ウクライナ支配地域には 3,700万人が住んでいた。
ウクライナ側は公式に、戦争の結果 800万人の難民が国外に出たと報告している。つまり、2,900万人ということになる。
この数字には自然変動、つまり出生と死亡の差は考慮されていない。

　私は最近ウクライナから帰国し、いわゆるグレーゾーン、つまり最前線のすぐ近くにしばらく滞在した。
そのとき、ある村に到着した医師たちの仕事を見学した。
診察を受けたこの村の人々は、一人の例外もなく全員が重度の高血圧症だった。
医師たちは彼らに薬を配ったが、彼らの多くは、大きな町に行って追加検査を受けなければならないと言った。
その人たちは、そんなチャンスはないと答えた。東部や南部の広大な地域の人々も同じような状況にある。
私は、医療を受けられないことによるいわゆる民間人の超過死亡者数は、敵対行為による死亡者数をはるかに上回るのではないかと考えている。
　戦争が終わったと仮定しよう。
前述の人口学・社会学研究所のエラ・レバノヴァ所長はこう明言する。
「ウクライナが戦後復興するためには、人が必要です。そして、国が再建され、帰る場所があれば、人々は戻ってくる。
つまり、ここにはパラドックスがあるのだ。
　第二の問題は出生である。
昨年の出生率は 0.9 で、1人の女性が出産した子どもの数は 1人以下だった。
ウクライナの予測によれば、今年はこの割合が 0.7 まで下がる。
また、戦争終結後は出生率が 1.2 まで上昇し、国の復興が順調に進めば 1.5～1.6 まで上昇する可能性もあるという。
1990年には 5,500万人、ロシア侵攻以前は 3,700万人、現在は 2,500万～2,900万人だった国である。
昨年のロシア侵攻後に出て行った 800万人の難民が戻ってくる可能性はあるのだろうか？
大半はそうではない。まず、300万人のウクライナ人がロシアに逃れた。この人たちは戻ってこない。
さらに、ウクライナ人自身が彼らの帰還を望んでいるかどうかもわからない。
ウクライナ人との非公式な会話でよく耳にするのは、ロシア系民族が多数派を占めるドンバスとクリミアを失って初めて、
ウクライナは親ロシア政党の深刻な影響力のない議会を手に入れることができたということだ。
その結果、500万人が西側諸国へ流出した。そのうちの 100万人は、EUを飛び出してアメリカやカナダに渡っている。
カナダはウクライナ人にとって非常に人気のある行き先だ。
カナダは「2100年までに 1億人のカナダ人」計画を実施しているからだ。現在、ウクライナ人がカナダに移住するプロセスは次のようになっている。
「おはようございます、ビザが欲しいのですが」。すると大使館は『どうぞ』と言う。
ウクライナ人はカナダで非常に充実した社会保障を受けることができる。（中略）

しかし、本当のドラマは田舎、特に東部の田舎を見ることだ。
そこではほとんど誰にも会わないし、原則的に高齢者ばかりだ。ウクライナで起こっていることは、町や村の構造をどのように変えるのだろうか？
現在の出来事は、以前から進行していたウクライナの私的大土地所有化 latifundisation を加速させている。
そこには、誰でも国から土地をもらえるという虚構があったが、こうした人々はすぐに大規模な農業コングロマリットのために土地を書き換えてしまった。
だから村は過疎化し、戦争はそれを加速させた。村にはもともと若い人が少なかったが、今は彼らが去ってしまい、年配の人たちだけが取り残されている。
こうした若者のほとんどは、外国から田舎に戻ることはないだろう。
なぜなら、たとえばクラクフと自分の村との生活水準の差を目の当たりにしたからだ。
キエフを再建すべきか、小さな町を再建すべきか。
そのとき、小さな町を犠牲にして大きな中心地を再建することに、誰も瞬きをしないことは保証する。
都市で1キロメートルの送電線を引けば、何万人もの人々に電気が供給されるが、村で同じ 1キロメートルの送電線を引いても、
一人にさえ電気が供給されないかもしれない。村は放置されたままとなり、その結果、過疎化が進み、急速に死に絶えてしまうだろう。
したがって、将来的には、少数の都市と、大規模なラティフンディストによって耕作される畑があちこちにできることになるだろう。（紹介ここまで）

　ウクライナの土地の外国人への切り売りは 2014年のクーデターに始まりゼレンスキー政権で加速した。
ブラックロックなど筆頭だろう。古くはポーランド貴族の元で農奴であり、ソ連時代は集団農場化である。
アメリカで家族農業が圧迫され大規模農場化した流れがウクライナでは大幅に加速され、欧米企業による現代の荘園制度の出来上がりである。

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