　　　　なぜ日本は「チグハグ政治」となってしまったのか　　　　　　　　　　　武田邦彦　　　　　　2024/4/19

日本人が働いて得た「付加価値」、つまり本来は日本人が受け取るべきお金の半分ぐらいが、外国に行っている。
理由は複数考えられるが、現在の日本の政府は、日本国民が選挙で選んでいるにも関わらず、その地位を利用して、
外国の企業や政府の得になることに一所懸命だ。
ある国が外国から資金を導入しなければならないということは、「国内に技術もビジネスもあるけれど、お金が足りない」という時だけだ。
外国から資金が来るのは「タダ」ではない。
その資金に見合う収益を求めるので、それは自国の人が働いた分のなにがしかを外国に持っていかれることを意味している。
普通の政治家なら、自国の国民を豊かにしたいので、そんなことはしない。ところが、それを日本の政治家は 30年もやっている。

　　なぜだろうか？
日銀はずっと「インフレ率 2% が適切」と言っている。
ということは、銀行の利子が 2% ないと、国民のお金が年に 2% ずつ減っていくことになる。
ところが今の政府は「チグハグ政治」が好きなので、インフレ率を 2% にして預金の利子は 0.001%、
外資を入れずに国内の資金を使えば、つじつまが合うのに、それを故意にやらないという酷さである。
それでも、自民党が選挙では多数を取るというこれも国民側の「チグハグ投票」である。
日本は民主主義の国だから、テレビが正しく情報を伝えれば、国民の意思が政治に反映するはずだから、政府の責任は国民の責任でもあるが、
テレビが正しい情報を伝えないので、国民はなにが正しいか分からず、投票率はバブル崩壊以来、一直線に低下している。
高度成長期には 80－85% の投票率が普通だったが、それから 30年、低下を続けて、現在では 50% になっている。
国民の半分が投票していないのだから、異常事態だ。
特に「愛知県知事選」などは 37% 程度と、県民の 3分の 1の選択であり、選出された知事は恥ずかしくて辞退すると思ったら、堂々と知事に座っている。
投票率がどうでも自分は知事だというのは、どうしたものだろうか？

　現代のマスコミはウソばかり？日本人が正しい判断で投票できないワケ
現代の選挙では、組織票が強いと言われる。なぜ組織票が強いかというと、選挙の見返りがあるからだ。
つまり、選挙は「日本をどうするか」とか、「子供たちを守るには」というような愛国心から行動する人は少なく、自分さえ良ければ良い。
払った税金を少しでも「補助金」とか「無償化（税金化）」という形で取り返したいという、「自分だけ文明＝ヨーロッパ文明」に影響されているからであろう。
現代の日本で政治的な支配をするためには、国民から税金を取り、そのうち国家として必要な分に約 4分の 3を使い、
4分の 1を 4分の 1の人に返せば、自民党や組織的な野党、医療法人などは「自分たちの団体にお金を戻してくれる政党」に投票すれば、
税金はすべて回収され、無税国家に住んでいるような状態になる。
たしかに、現在、圧倒的な多数を誇る自民党が選挙で得られる票数は、選挙権を持っている人の 17% にしか過ぎない。
つまり、投票率の下がった現在の日本の政治は 4分の 1の利権者に税金を戻すシステムになり下がったのである。

　まとめてみよう。
　１）　日本人のお金が余っているのに、外資を導入して、日本人が働いたうちの 2分の 1を外国に渡している
　２）　投票率が 50% であることを利用して、日本人の 4人に 1人に税金を還付し、それをあてにして次の選挙に勝つ
巧みな戦術と、表面的にはウソをついていないが、実質的にウソであることを言って政治や経済の素人である国民を騙しているということになる。
最近、著者はマスコミ全体が怪しくなってきたので、ＮＨＫばかりを非難することを控えているが、やはりＮＨＫの責任は重い。
ＮＨＫは国民から等しく受信料を取っているから、他のマスコミとは違って、常に国民側で報道しなければならないが、
前のＮＨＫ会長が吐露したように「ＮＨＫの報道は、政府が右と言えば右、左と言えば左」という報道をしている。
最近のウクライナ、温暖化、そしてＳＤＧｓなどの報道は目に余る。
でも日本はまだ民主主義である。国民が事態を正確に理解すれば、急激に現在の政治家が没落し、新しい国民のための政治が始まるだろう。
それはあれほど威力を誇っていたテレビや新聞から、国民があっという間に離れていったことがわかる。日本人はバカではない。
人が良く、誠実で、全体をよく見ているので、多少のことは許すが、それが限度を超えると急激に変化して元には戻らない。
このことは日本の歴史の示すところであり、優れた民族であるので、理解力は高い。
今のテレビの視聴率が激減しているように、政治家が気が付いた時にはすでに後戻りできない状況になっているだろう。

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