習近平には無理　　ベトナム戦争は支那人を含む外敵を倒す民族戦争　　高山 正之　　　変見自在　　　　　2022/4/17 1975年春、カンボジアの首都 プノンペンが ポル・ポト派に制圧された。 170万人殺戮の キリングフィールドが始まった日、朝日新聞は 「アジア的 優しさを湛えた社会主義国家の誕生」 （和田俊 特派員）と書いて、笑われた。 尤も他紙も、温和なカンボジア人がなぜこんな酸鼻に酔ったのか、説明 もできていなかった。 宮本顕治は同志 小畑達夫を裸にして錐で睾丸を突き刺し、硫酸を浴びせて殺した。 共産主義者が共通して持つ 残忍さ ゆえだとしても、まだ十分条件には遠い。 和田特派員を誤報に導いた 「仇敵 ロン・ノル派の兵士と ポト派の少年兵の笑顔の交換」も理解できない。 それは何か。 3年後にベトナム軍の先頭に立って ポト派を追った現 カンボジア首相 フン・センの素性が明らかにした 彼は 華人の父と カンボジア人の母の間に生まれたハーフだ そして彼が大隊長を務めたポト派の主張は 「カンボジアをカンボジア人の手に取り戻せ」だった。 誰の手から取り戻すのかは 仏印時代に遡る。 フランス人は ベトナムを植民地にすると、過酷な税の取り立てを 華人にやらせた。 華人はベトナム社会をほぼ牛耳った。 フランスは カンボジア支配には ベトナム人を使った。 役人の 9割が ベトナム人だったと史料にある。 先の戦争で 日本は フランスを含む 白人宗主国 をアジアから叩き出した。 主がいなくなると ベトナムでは 華人がのさばった。 サイゴンに隣接した ショロンには 70万華人の豊か街ができて大いに栄えた。 ベトナム人は戦後、戻ってきた フランス人と戦い、支援する 米国とも戦って1973年、撤退させた。 しかし彼らはもう 2年間 南北統一のために戦い続けた。 完全勝利を収めるや今度はのさばっていた 華人の財産 を没収し始めた。 世に言う ポート・ピープルは稼いだカネを懐に逃げ出した華人のことだ。 マクナマラがそれを見て気づいたように ベトナム戦争は支那人を含む外敵を倒す民族戦争 だった。 カンボジアも実は同じで、いつの間にかこの国を牛耳っていた ベトナム人を粛清するべく ポト派が立ち上がったのだ ベトナムを憎む 毛沢東がそれを支援した。 彼らしい遠交近攻政策だった。 ただ問題もあった。 カンボジアにも 華人が入り込んで民の膏血を啜 (すす)っていた。 「彼らを避難させるか」と自身も華人の合いの子の ポト派ナンバー３、イエン・サリが毛沢東に聞いた。 毛は一言 「やっちまえ」と言った。 妙に華人を庇い立てて支那の関与を明かしたくなかったか。 それで数万と言われた在住華人の運命が決まった。 ポト派はあの日、都会で優雅に暮らす ベトナム人や 華人を下放し、審問して最後は妻や子供と一緒に処刑場に並べて鍬(くわ)の刃で頭をかち割って殺した。 審問所のあった ツールスレン高校の体育館の壁には処刑前に撮られた家族写真が何百枚も貼られていた。 民族の純血から始まった粛清はやがて ベトナム人や 華人の合いの子も殺す対象に入れ始めた。 フン・センはそれで逃げた。 逆に 和田特派員が見たように ロン・ノル派であっても同じ純血カンボジア人なら手も握り合ったわけだ。 ロシアが ウクライナに侵攻した。 直前に プーチンは 北京に行って習近平に会った。 彼は習に侵攻を告げ、支援を頼んだと言われた。 ところが侵攻の朝、何も知らない 6000人の支那人が ウクライナにいて、かなりの恐慌をきたした。 それで プーチンは 「習に言わなかった」説がでた。 言えば身内大事の支那人のことだ。 大騒ぎになって 3・11 のときみたいにわあわあやって逃げ回る。 プーチンが密かに練った侵攻の秘策は始まる前に世界にバレてしまうからだ　 一方で 習は 毛沢東風にプーチンに 「構わずやってくれと言った」説もある。 それは北京が作ったフェイクとも言われる。 習が 毛であるはずもないし。 　　　「変見自在」 へ戻る