川　柳 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「心愉しい詩歌」 へ戻る    古女房 年金だけが 赤い糸    ヒラ通し 定年後 すぐ町会長    老夫婦 あれ,これ,それで 意思疎通    年取ると やる気あっても 居場所なし    還暦や 昔の人が 偉く見え    預貯金なし 携帯もなし 被害なし    偉い人 三面記事で エライこと！    肩書きが 消えて人間 取り戻し    大概は 妻に掛かってくる 電話    病気だと 知らず元気で いた１０年    悩んでた 自分が今は なつかしい    この部屋は まるで私の 心だな    ああ成長 したなと思う 古希過ぎて    なってみて やはりしんどい ８０歳　    去年 きたばかりじゃないか 誕生日    切り抜きが 多い時には 元気良い    置き場所を 思い出せない 備忘録    カラッポの 頭になんで 入らんの    毎日が 同じことへの ありがたさ    断食に どうして 金を払うのか    思考力 鈍ってついた 決断力    一瞬の 出来事のよう 八十路すぎ    ゆっくりと してはおれぬぞ ８０歳    ただいまの 父の声して 皆解散    白菜に 湯加減を聞く 独り鍋    健康茶 たくさん残して 夫逝く    家族皆 知らぬ名を呼び 逝った祖父    夫逝き 夜がこんなに 長いとは    亡母の名で 呼びとめられた 故郷（さと）の駅    ほっといた 妻に近ごろ ほっとかれ    ふと嫁が 娘に思えた うれしい日    達者だが 寂しいんだよ またおいで    財テクと 言う前その水 止めなさい    一本も 歯のない口で 言い負けぬ    わび会見 目の奥にある 違うもの    新しい 組織の上に 古い人    近ごろの トップの顔の 貧相さ    高い皿 買った時から 棚の奥    サギ師より 政府が怖い 高齢者    コメントも 視野も狭いが ワイドショウー    幸せは なるんじゃなくて 気付くもの    耳遠く オレオレ詐欺も 困り果て    金貯めて 使う頃には 寝たっきり    寝て練った 良い句だったが 朝忘れ    骨が減り 知人も減るが 口減らず    孫が聞く 膝が笑うと どんな声？    先寝るぞ 安らかにねと 返す妻 　page top　　　　　　　　　　　　「心愉しい詩歌」 へ戻る