　　　世界一の金持ちとなったのはラリー・エリソン　　　　宮崎正弘　　　　　　2025_9_29

イーロン・マスクを抜いて世界一の金持ちとなったのはラリー・エリソン（81歳）、2年前に中国系女性と 4回目の結婚、ますます元気。
ラリー・エリソンは、データベースとクラウドコンピューティング業界でビジネスモデルを創出し、
1977年にソフトウェアおよびデータベース企業「オラクル」の共同設立者となった。
彼の資産は、オラクルの株式の 4割。 AIのインフラ構築で政府と多額の契約を成立させ、時価総額は 3,700億ドル（55兆円）に膨らんだ。
エリソンは競合相手の買収を強硬に重ねてクラウドコンピューティング世界に君臨し、
他方、日本文化への愛着が深く、京都南禅寺の別邸など世界中の不動産を買いあさり、ハワイでは島をひとつ保有し、
さらに何機ももつ自家用飛行機は自ら操縦する。
日本への傾斜は精神的な、哲学的希求であり、アップルの創設者ジョブスの影響がある。ふたりは親友でもあった。

　次の狙いを定めたのがメディアだ
世界一のメディア王といわれるルパート・マードックの規模を上回る買収作戦を展開してきた。
ラリー・エリソンの息子でハリウッドのプロデューサーのデイビッドは、TikTokから CNNまで、世界最大級のメディア企業買収を進めている。
最も注目を集めているのは、エリソンの息子とトランプ大統領の関係だ。
共和党の巨額献金者として知られるが、公的寄付の記録はない。
彼がハリウッドに初めて進出したのは、2006年に自ら出資し共演した第一次世界大戦のパイロットに関する映画だった。だが、これは失敗作だった。
2010年に自身のスタジオであるスカイダンスを設立して以来、
『トゥルー・グリット』、『ミッション:インポッシブル』、『ワールド・ウォー Z』などのヒット映画を製作してきた。
2011年には、妹のミーガン・エリソンも自身の製作スタジオであるアンナプルナ・ピクチャーズを設立し、『ゼロ・ダーク・サーティ』などの映画を製作した。
デビッド・エリソンはスカイダンスをテレビ、ゲーム、スポーツの分野に進出させた。パラマウント映画を買収した。
エリソンはルーニー・テューンズ、ハリー・ポッター、スーパーマン、そしてHBOとCNNを擁するワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーへの買収提案を準備している。
この合併が実現すれば米国最大級のメディア企業の一つが誕生することになる。
極左のエリザベス・ウォーレン上院議員は、パラマウントとワーナー・ブラザースの提携は「危険な権力集中」に当たるとして阻止するよう求めている。
ハリウッドは左翼が猖獗する業界だから、保守系の躍進はきっと不快な出来事なのだろう。

　トランプは大手メディアの偏向が「名誉棄損」として次々と訴訟へ
トランプは ABC を相手取った裁判で勝った。 2024年12月、ABCニュースのキャスターの発言は名誉を毀損にあたるとし、
同局がトランプに 1500万ドル（約23億円）を支払うことで和解が成立した。
ABCは「レイプの責任があると裁判で認定された」と誤った説明をしていた。
またトランプは NYタイムズを相手どって訴訟を起こした。
ニューヨーク・タイムズが 2024大統領選挙直前、民主党の候補者だったハリス副大統領を支持する社説を掲載したことなどを挙げ、
「民主党の完全な宣伝機関となった」と主張した。
「社説は政治的に反対の立場を取る者に対する大規模な名誉毀損と中傷を掲載する内容となっている。
大統領に対する虚偽の情報を堂々と率先して流布した」などと訴訟理由をあげた。
ニューヨーク・タイムズは「正当な法的根拠が一切なく、独立した報道を抑え込み、思いとどまらせようとする試みだ。脅迫戦術にひるむことはない」とコメントした。
フロリダ連邦地裁は起訴状が長すぎる、「20ページ以内で再度提出」を命じ受理はペンディングの状態となった。
7月にもトランプはウォールストリートジャーナルに対して、
「名誉を傷つけられた」として、100億ドル（約1兆4800億円）超の損害賠償を求める訴訟をフロリダ州の連邦地裁に起こした。
これは人身取引罪などで起訴された米実業家ジェフリー・エプスタインに自身の署名が入った「下品な手紙」を送ったと指摘する内容だ。
トランプ氏は訴状の中で、手紙が記事に掲載されていない点などを挙げ、「虚偽の主張だ」とし、
「経済的な損失と名誉棄損」にあたるとし、記者2人と WSJの発行元であるダウ・ジョーンズ社や、
同社を傘下に置くニューズ・コーポレーション社とルパート・マードック名誉会長らに「100億ドルを下らない」額の賠償を請求した。

さてエリソンが買収したパラマウント社は、民主党に有利になるようにカマラ・ハリスのインタビューを不正に編集したとしてCBSとの訴訟を解決するため、
1600万ドルを支払うことに同意していた。
ウォール街では、パラマウントとワーナー・ブラザース提携に支持者が多い。
投資家たちはディズニーやネットフリックスに匹敵する配給力とライブラリーを備えたスタジオを作るチャンスだとみている。

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