　　　『国会議員に読ませたい「移民」と日本人』　　　　　産経新聞取材班　　　　書評　宮崎正弘　　　　　　2025_1_19

「かわいそうな難民」から　「凶暴な移民」、そして　「ふてぶてしい出稼ぎ移民」と世の中の見る目が変わった。
多くの日本人は潜在意識のなかで外国人移民ははやく出ていって欲しいと考えている。
移民歓迎を言っているのは偽善者か利得者だろう。

　近年の移民問題はチンピラ集団のチャイナドラゴンから、最近は川口のクルド人問題となった。
労働移民の危険性について『多文化社会など実現したためしがない』とした西尾幹二氏の警告（『労働鎖国のすすめ』、1989年）からすでに 35年も閲した。
「人道主義」のキレイゴトをいう人たちは移民歓迎、差別反対、移民外国人との「共生」を言いつのり、
外国人の凶暴な犯罪が増えても、「それは日本社会が悪いのだ」と素っ頓狂な言い訳に終始し、
移民制限をとなえると「人種差別主義者」のレッテル貼り、はては『ファシスト』呼ばわりだ。
「大手メディア」がそうした論調を展開してきた。
軽佻浮薄なジャーナリズムの責任は重いし、何もしなかったアカデミズムをみていると、日本に「本物の知識人がいかに少ないか」が分かるだろう。
極左やマルクス主義者にとっては日本社会の破壊が最終目的だから、移民も社会擾乱に活用できるということになる。
移民の実態はと言えば、３Ｋ現場、偽装難民、結婚詐欺と様式を替えながら、
コンビニ店員から介護、インバウンドの旅館の受付など多種多様となり、たしかに一部は労働力を補充している。
とりわけ中国人の新移民は新しいチャイタウンを形成し、そこでは日本に溶け込もうとする姿勢も努力のあともみられない。
中国語だけで日常生活がおくれるからだ。
そのチャイナタウンと雖も神田は上海系、横浜は広東系、池袋は黒竜江省系が主体。
さらに出身地別の、それぞれがコミュニティを形成し、くわえてややこしいのは、ここへ中国の富裕層がやってきて豪華マンションに住む。
港区のタワマンも多くが中国人に買われたが、かれらが一番熱心なのは文京区の物件だという。
なぜなら都内 23区のなかで、学校地区という好印象に加えて、もっとも治安が良いからだという。
大坂では西成区の中国人住民が 2倍になった。

したがって日本に住む百万人近い中国国籍者を『中国人』と一括するのは誤りである。
上海人は口達者、広東人は商売熱心、福建省組はまじめな人が多い。農村への花嫁、出稼ぎは東北三省（遼寧、吉林、黒竜江省）と内蒙古だ。

「共生」などという妖しげなグローバリズムによって学校では何がおきたか？
日本語が喋れない外国人の子供の補習授業まで面倒をみなければならない教員（ついに教師志望が激減した）、
苦虫を潰す PTA。妖しげな日本語学校は 1800名もの幽霊生徒をかかえていた。
実態は、中国人が大量に住み着いて団地ではゴミの選別、トイレの垂れ流しから始まっての「モラルの段違いな差違」、
池袋北口はニューチャイナタウンに化けて住民とのいがみ合い、新宿歌舞伎町は華武器街となった。

ブラジルからの移民は日系人が主体だから、ほとんど問題はなく浜松や栃木県の一部ではポルトガル語が飛び交った程度、
ネパールもインドネシア、バングラからの出稼ぎはおとなしい。
問題は保険と医療など金銭と福祉の分野にも広がり、とくに医療費の未払いが 2倍となって、不公平感が急速に拡大している。

イスラムの国々からやってきたムスリムも在日人口が 25万人となると、問題は突如顕在化した。
アラーの神にいのるモスクは全国にはやくも十数ヶ所、いつの日かテロリストの拠点になるのではと心配になる。
そして墓の問題が突発した。
ムスリムは土葬である。いやキリスト教も基本的には土葬である。天地創造は神が土に息を吹きかけて人間が生まれた。
人間は土に還る。ゴッド・ブレス・ユウとはそのことを意味するのだ。
土葬を許可する地方自治体はほとんどなかったが、いまでは北海道余市、茨城県小美玉市、埼玉県本庄市、山梨県甲州市、和歌山県橋本市、
大分県日出町、広島県三原市など 9箇所、地元住民との軋轢が絶えない。
ところで土葬は寧ろ日本の伝統である。
火葬は仏教がはいってきた奈良時代以後、天皇家の火葬は持統天皇から一部で始まった。
つまり日本に於ける火葬伝統など僅か 1200年間のことで、縄文時代から弥生まで数万年は土葬だった。

　アメリカの DEI の気風に操られて、多様性、国際化が金科玉条に早変わり、異民族との共生が上から強要される。
日本人のくらしが脅かされる。
そして社会問題として急浮上したのがクルド人だった。
クルド人は、現地へ行くとわかるが、トルコに限らずイラクでも「厄介者」、ヨーロッパ全域におけるジプシー問題と似たところがある。

産経新聞取材班はトルコへ足を運んで、日本への移民が夥しい村々を取材した。そこで真相が分かった。
日本への移民が集中しているのはトルコの行政区 81縣のなかでも、ガジアンテプ県、カフラマンマラシュ県、アドゥヤマン県の 3つだった。
　取材班は村人にインタビューした。
トルコの出稼ぎ村で川口在住のトルコ陣問題に触れると「難民？嘘だ。みんな上手に嘘をつく。
入管で「国にかえったら殺される」「刑務所へ入れられる」なんて全部嘘、みんな日本で仕事がしたいだけ。お金がたまったら村へ帰るのさ」
　
　日本がもし「常識の通じる国」であれば、「固有の歴史と文化を破壊する移民」を制限するのはあたりまえのことである。
また外国人にとっては[郷に入れば郷にしたがえ]の格言通り、振る舞いには自ら気をつけるべきである。
そうした前提ののうえで「共生」が成り立つのである。
「いみん」を『定住外国人労働者』などと他人事にように呼称する行政もどうかしている。
　本書は言う。
「肝腎なこととは私たちの普通の暮らしを守ることです。
国会議員の最も大事な仕事とは経済と外交・防衛、つまり国民の生活と安全を守るための行動と、そのための法律をつくることではないでしょうか」
ところが国民から選ばれた国会議員は逆さまで、祖国防衛はそっちのけで「中国に貢ぎ、韓国に低頭し、外国人のために尽くして」も自国民の暮らしを放置した。
　深く考えさせられる一冊である。

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