| 2025年 トランプ劇場 2.0! 世界は大激変する 宮崎正弘 2024年1月10日 経済予測で世界的に知られる企業家の トウマス・マリネンは、世界が遭遇する最悪のシナリオを次の項目とした。 ＊ 米軍のイスラエル直接介入がおこる ＊ OPECが再結集し石油価格をあげる ＊ イランがホルムズ海峡を封鎖する ＊ 石油は1バーレル=300ドルを突破する ＊ 欧州がエネルギー危機から経済金融危機を迎える ＊ FRBはインフレ対策のため金利政策を変更する ＊ 金融危機は多くの銀行を倒産に追い込む ＊ ペトロダラー体制が崩壊する ＊ 過去に例のない猛烈インフレが襲来する さようならネオコン軍団 トランプが イデオロギー的に嫌うのが ネオコンで、第二次トランプ政権が誕生となれば政権周辺から徹底的に排除するだろう。 およそ 400名の高官が揃うのは 2025年4月頃になる。 トランプがホアイトハウスに入ると、モスクワに飛んでプーチンと直談判におよび強引に停戦に導くだろう。 トランプ圧勝という予測が覆るシナリオを3つある。 第一は、暗殺である。 第二が、コロナと同等か、それ凌駕する新しい感染症の蔓延である。 第三が、出鱈目な裁判でトランプの有罪判決が出る場合。 もし ペトロダラー体制が崩壊し、石油が 1バーレル＝ 200ドルを突破すれば 金決済が主流になる。 通貨価値はなぜ変動するのか。 金利と 経常収支と 戦争である。 為替相場を決める要因は、金利、経常収支、政治状況である。 世界一の 低金利の 日本の通貨 が強くなることはない。 米国の債務（百万ドル）と 金価格 （ドル＠オンス） 1970 372,007 $ 35 1980 863,451 $ 653 1990 3,051,958 $ 415 2000 5,773,392 $ 283 2010 12,773,123 $ 1,078 2020 23,223,813 $ 1,584 2023 31,457,820 $ 1,982 ドル全面依存の日本は保有する金塊のすべてを ＮＹ連銀の地下金庫に預けている。 ドルが 金本位体制へ復帰するというシナリオを考えていないからだ。 現在日本が持つ 米国債は 1兆ドルを超えている。 この内 1000億ドル程度を市場で売却すると二重の効果がある。 ドルが不安定化し、円高に大きくぶれ、日本には国益となる。 1ドル100円の時に購入した 米国債は、1ドル150円になったから 1000億ドルを売れば 50兆円の差益を生む。 日銀・財務省はひたすら 米国の顔色を伺って、このような発想さえないが、果たして トランプはどう出るか。 この臨時収入で日本は 防衛費を増やし、「なんなら 第七艦隊と 在日米軍を買収できます」 と言えるではないか。 トランプは、中東のテロの根源は イランの狂信的宗教指導者 によるものと踏んでいる。 トルコも 反西欧に舵を切った？ NATO海軍本部は トルコの イズミールである。 そのトルコが公然と欧米に叛旗を翻し、反イスラエルの立場を表明した。 これは大事件である。 徐々に イスラムに復帰し、トルコ全土の大学にもモスクを建立したのが エルドアンの静かな反西欧との闘いだ。 エルドアンは 「ハマスはテロ組織ではない。 イスラエルよ、君は占領者だ。 国家ではなく、集団だ。 我々は君たちに何の借りもない。 イスラエルは 100年前の 英帝国主義の尖兵であり、ユダヤ英国人総督が置かれた。過激なユダヤ人が入植しユダヤ人英国人総督は高値でユダヤ人と契約する。 アラブ人の地主から買収した土地からは パレスチナ人の小作人は追い出された。」 第一次世界大戦で アラブの領土を失い、その後の イスラエル建国の経緯を知るトルコだけに、西欧の二重基準のは腹を据えかねるのだろう。 トランプ支持層にユダヤ人は滅法少ない。 献金も少額で 在米ユダヤ人の 70% は 民主党支持である。 ハマスのイスラエル奇襲直後、イスラエル支持をパレスチナ支援派が旗を掲げて睨み合った。 その後 米国ですら パレスチナ支援派の方が活発になっている。 イスラム圏では数万人が集まるなど各地で大規模なパレスチナ支援集会とデモ行進があった。 西側の抗議活動が行われた場所は、いずれも アラブ人のコミュニティーが存在する。 問題は組織力である。 組織の企画力と動員力がなければ、これ程短時日裡に政治活動が組織化できるわけがない。 西側が気付かないうちに 地下ネットワークが構築されていた。 今後、連続して世界の何処かで、大規模なテロ事件か 凶暴な事件が起こるだろう。 米国の分裂と衰退は不可避的である 米司法省と FBIは グロバリズムの前衛、バイデン政権の走狗に成り下がったと多くの共和党支持者は認識している。 最高裁判所判事こそ保守系が多数だが、地方裁判所は リベラル判事の方が多く、日本と同様に可笑しな判決が往々にして出される。 極左司法界、検察、FBIが一丸となって選挙戦で優位に立つトランプを突き落とす作戦を展開してきた。 左翼の法廷闘争にはトランプの選挙資金枯渇を視野に入れている。 米国はジャコバン党に乗っ取られた 米上院は高齢者の集まりで グラスリー議員は議員歴が 48年、マーキーが 46年、ワイデンが 42年、上院の議席に座り続けている。 上院議員を年代別に区分けすると、90代が 1人（別に先日90歳で死亡）、80代が 4人、70代は 29人もいる。 70歳代になるとエネルギーは低下し、情熱も希釈され、意欲も後退し、ほとんどは 現状維持となり、記憶力は劇的に衰弱する。 外交を最終決定し、予算を決め、閣僚人事を承認するのは 上院である。 この年齢構成をみていると、米国の衰退ぶりもうなずける。 米国の民主政治なるものは、51% を押さえれば、残り 49% の意見を無視する。 51% を取らなくても巧妙な戦術で ジェンダー、フェミニズム論争はオバマ政権下で異常な事態を招来させ、少数派が声高に想定外の権利を主唱し、 多数派の幸福を破壊し、世論をリードし、政治を混乱させ国家が危機に瀕した。 この基軸を支えたのは 左翼メディア、とりわけ操作された 映像だった。 行き過ぎた 多様性尊重は、ついに 「白人原罪論」を産み、昨今の米国ではユーモアも通用しなくなって社会の伝統的価値観は破壊された。 この根底に潜むのは憎悪が渦巻く マルクス主義である。 ポリコレ （言葉狩り）を発明し 「共産党宣言」に代替えさせた。 任務を全うした警官が有罪となるくらいなら警官募集に応じる人が急減し、それがまた治安を悪化させ、正義は消えた。 全米に多く存在する 左翼首長を選んだ自治体では極端に治安が悪化した。 マルクス主義者からみれば 「革命前夜」。 メディアの偏向万歳である。 事態は深刻さをまし、いずれ日本に上陸する惧れがある。 不法移民問題は解決不能 移民による治安悪化は米国に限らず、ドイツ、フランス、英国で顕著だ。 グローバリズムの究極の狙いは 国家破壊だから極左は 移民政策を強硬に進めるのだ。 日本でもこの問題は深刻化している。 米国はなぜ 「ラピダス」支援に方向転換したか？ 米国の対中制裁の眼目は軍事転用可能なハイテク封鎖である。 AIを最優先する開発競争の変化は、世界戦略と絡んで日本重視政策が急浮上した。 次世代半導体の ２ナノを日本にも製造させるため 「ラピダス」に協力的となり、TSMCを警戒し始めた。 日本の 経済論壇はまだ半導体を 「産業のコメ」 レベルでしか認識できていないが、これは 国家安全保障に直結する 地政学的な地殻変動 を伴っている。 半導体競争で米英の狙いは 「頭脳部分」の独占にある。設計や基本特許を押さえ、ルールを決め、生産は下請けに依存し、 基本特許のロイヤリティ収入で大儲けすることであり、米国の大富豪のほとんどが頭脳部門の独占で富を築きあげた。 GAFAMの株価が ウォール街の時価総額の ４分の１を占めている。 ここに テラスと エヌビディアが加わった。 「マグニフィセント・セブン」とした。 株価を牽引し、ついには欧米の投資ファンドが出遅れ感の強い日本企業株に狙いを定めた。 次世代ビジネス、日本経済の捲土重来は半導体にかかっている。 新規事業に消極的だった日本政府が唐突にスタンスを変えた背景に米国企業と政治家の影がちらつく。 この黒幕は誰だろう？ トランプ政権の基本方針の転換 自国に生産拠点を戻す、基本特許の制約を強化し、外国企業の次期テクノロジー先行を法的にも阻止することに米国の企業戦略が置かれた。 次に サプライチェーンの再構築という大問題がある。 国際的に分業体制に変貌させた多角的複合グローバリズムは根底的な見直しに直面する。 トランプが仕掛ける対日ショックとは何か？ トランプ次期大統領が直面するのは米国の 財政赤字という難題である。 その累積債務は 2024年中に 40兆ドルを超える。 毎日 200億ドルの利払いに追われており、米国の繁栄は利払いで消えることになる。 このままで進めば、世界一の軍事大国は維持が困難になる。 「在日米軍と第七艦隊は日本でまかなってくれまいか」 とトランプは日本に要請することになるだろう、と筆者は予測している。 このままいくと、2024年には累積債務が 41兆ドル （6150兆円）となり、2030年には確実に 50兆ドル （7500兆円）を超える。 そしてトランプは外国の揉め事には積極的に関与しなくなるだろう。 最後にトランプ 「次期大統領」に 進言したいことがある 対日ショックが日本にも裨益する最大の手段として、次回来日時に 靖国神社参拝 を決断されんことを。 戦後 78年続く日本の瀰漫 （びまん）状態を、このショックで一撃し、日本の首相参拝の恒例化はもとより、天皇陛下の御親拝が可能となる。 そして日本は精神的にも立ち直れる。 「トランプ２．０」 によって、日米関係は抜本的な変化の波に襲われ、 日米安保体制の基軸の変更を迫られる時代に突入することは確かである。 アメリカの世論は換わった 宮崎正弘の国際情勢解題 2024/5/02 ７月の共和党大会の焦点はトランプが 「副大統領」に誰を指名してチケットを組むか、である。 WOKE批判の人間が選ばれるだろう。 ニッキー・ヘイリー元国連大使が予備選撤退の際にトランプを支持しないで、トランプ陣営から離れたため、彼女の副大統領指名の可能性は薄らいだ。 軍需産業とウォール街の幹部でなりたつ共和党主流派はトランプに非協力的であり、現在もこれからもトランプは支持者だけの孤軍でたたかう姿勢にある。 となると最有力の副大統領候補は トゥルシー・ギャバート に絞られてきた。 第一に女性であること。 第二に少数民族出身という条件をみたしており、第三に有力視される材料とは彼女が民主党幹部だった「履歴」、 第四がイラクで戦った「軍歴」である。 彼女は最年少でハワイ選出下院議員、2020年には民主党の大統領候補予備選にでた。 またヒラリー・クリントン批判で知られる女傑。 されど美人。 難点がもしあるとすれば、彼女がヒンズー教徒を信奉するインド系であることだろうか。 ちなみにニッキー・ヘイリーもインド系である。 トゥルシー・ギャバードの新著 「国を愛するために」が4月30日に発売され、たちまちベストセラーとなった。 彼女はこう書いた。 「無駄な時間はもう無いのです。 私たちの国は激しく分裂しています。 共和国として、労働組合としての私たちの将来は暗い。 騒音、狂気、暗闇。。多くを締め出してサーフボードで海に漕ぎ出したり、山にハイキングに出かけたりして、母なる自然の平和と雄大さを味わいたい」 ギャバートは、なぜ民主党に絶望したかを語る。 「狂気が消え去ることを期待して目隠しをして生活を続けるには、あまりにも多くが危険にさらされています。 私たちが立ち上がって、この国を破壊しようとしている人々に、私たちの政府は国民の、国民による、国民のための政府であることを思い出させない限り、 立憲民主主義に対する狂気と脅威は消えることはなく、増大するばかりです」 「私が2002 年にハワイ民主党に入党したのは、当時、国民のための言論の自由を尊重し、参加者全員を大きなテントに歓迎し、 多様な意見や意見を共有する政党のように見えたからです。 第二次世界大戦中、隣人や友人たちが日本の強制収容所に放り込まれ、一瞬にして自由が奪われたことを思い出しながら、 市民の自由と権利のために闘う政党だった。 それは JFKと マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師に触発された政党でした。 アメリカ人として団結すれば何が可能になるかを示してくれました。 その党はもはや存在しません」 「民主党はあらゆる問題を人種差別化することで私たちを分断し、反白人人種差別を煽り、神から与えられた自由を損なうために積極的に活動する、 卑劣な 『目覚め』 （WOKE）に煽られた 『戦争屋』の 「エリート主義陰謀団」 の完全な支配下にあります。 憲法に明記されており、信仰と精神を持つ人々に敵対し、警察を悪者扱いし、法を遵守するアメリカ国民を犠牲にして犯罪者を保護し、 「安全」だと主張しながら国境を開いたままにし、国家安全保障国家を兵器化して、政敵の追撃、そして何よりも日を追うごとに私たちを核戦争に近づけています」 「書棚」 へ戻る |